天丼とお約束

 
 
 
 
 
題名でピンとくる人はお笑い好きですね。
 
お笑いで言うところの『天丼』は同じボケを何度も言うことを指します。これは天丼にエビが2本入っていることから来ているそうです。
 
私は空手をしているので大会などで記入する用紙に身長・体重を書くので薄々バレることもあるけど、女子の部は-55kg+55kgのことが多いので、55kg以上の人には具体的に聞く必要はない。
 
80kgだろうが56kgだろうが同じ『+55kg』として試合するんです。
 
 
 
前、試合会場で空手の先輩に「雨音さんて80kgくらいですか?」と聞かれた。防具を付けているので多少がっちりめに見えるかもしれないけど、私は70kgの大台を超えたことはない。
 
むしろ昔はもやしっ子で50kgもなかった。170cmあるので相当なもやしだ。
 
「そんなにないです」
彼は続けた。「じゃあ70kgぐらいですか?」「そんなにないです」「じゃあ何キロなんですか?」
 
そんなこんなでみんなの前で体重を発表するはめになった。
釈然としない顔をしていた。
 
 
大会も終わり、稽古後にまた聞かれた。
 
 
「雨音さんて体重70kgくらいでしたっけ?」
 
はい天丼キター。
 
 
 
違います、『逆』です。と言いたい。
 
男性が女性に、特に意中の女性に体重を聞く場合、少なめに見積もって
 
男性「雨音さんて50kgくらいですか?」
雨音「そんな、もっとありますよ〜」
男性「へー、見えないですね!」
雨音「そうですか、嬉しいです、ありがとうございます!」
 
な〜んて女性を喜ばせるのが『お約束』ですよね。
なので彼にとって私は意中の人ではないのでしょう。
 
 
 
彼(道場の先輩ですが頭をクリアにするために一人称で書いています)は多め多めに私の体重を言う。
 
以前「雨音さんはすごく辛い事や深い悲しみがあって、ヤケになってるイメージですね」と言われ、考えて「????加護亜依みたいな感じですか?」と言ったら「イヤーーーーー、マツコデラックスとか?」
と言われたことがある。
 
 
 
私は壇蜜や山口小夜子に似ていると言われたことが何度かあるけど、マツコデラックスは初めてだ。
 
 
 
以前繁華街でキャッチに遭った話を別の人に言ったら「熟女好きとか、デブ専とかもいるからね〜」と言われた時は「デリカシーがない人だ」と思ったけど、もしかしたら私の体重を頻繁に聞いてくる彼は「ぽっちゃり好き」なのかもしれない、と思った。
いや、マツコデラックスと言うからにはまあはっきり言って「デブ」が好きなのかと思ったのだ。
 
 
 
そう考えると天丼とお約束がひっくり返る。
 
男性「雨音さんて70kgくらいですか(俺の好きなデブかな?)」
雨音「すみません、そんなにないです!」
男性「95kgくらいに増やしたら無敵になるかもしれませんよ」
雨音「そうですか、嬉しいです、ありがとうございます!」
 
Happy end.
 
 
 
こっちをお約束のように何度も言っているのに気づかなかった私の方が鈍感なのかもしれない。
 
つまり彼は何度も何度も褒めてくれていたのかもしれない。
でも私は自分が太めになるのはイヤなのです。
 
彼が太めの女性が好きなのかどうか、その辺の真偽はおいおいわかったり、わからなかったりするのでしょう。
 
人の価値観によって『天丼とお約束はひっくりかえる』というお話しでした。