モノが売れない時代にモノを売るカリスマ

Macの調子が悪い、というか遅くなってしまい、作業に支障をきたすようになったので、ヤ○ダ電○にMac miniを買いに行った。私はiMacなどの一体型はグラフィックボードが壊れると全部だめで、ちょっと疑問を持っている。

 

(いつだか選挙前に壊れた時は過呼吸になってAppleに文句も言えなかった)

 

 

いつものMさんを呼んでもらい、Mさんご指名でお買い物。

 

 

 

5年くらい前、この人から最初に買い物した時は、あまりの商品知識の豊富さと、必要・不要をはっきりと伝えてくれて、情報も必要な事だけ言い、かつわかりやすいという最短距離でのお買い物が出来たので、私は感動し

 

「めちゃくちゃかっこいいですね、彼女いますか?」

 

と初対面で聞くほどすごくて、そこはレジだったのでちょっと困ったように「いますよ」と言っていて「そりゃそうだよな」と納得したものです。

 

 

 

きっぱり言う事はすごく良い事で、「いや〜どうでしょうね〜」とか言っていたらなんか人として綺麗じゃない。これから買い物に来るたびにはぐらかすというめんどくさい事になる。簡単に言えばいわゆる『色恋営業』はしてない。踏まえて読んでください。

 

まあ、私はそれからというものずっとMさんにお世話になっています。

 

 

 

Mac miniを買う時も

「真ん中のスペックのがいいんじゃないですかね、メモリ8ギガですし、長く使うなら4ギガだとまた遅くなりますよ」

 

と、『○○が良い、なぜなら〜だから』と明確で、スペックも値段も一番高いものは勧めない。私に必要ないと知っているからで、なぜかというと薄々私の情報を仕入れているから。私は映像制作など重たい作業はしていない。

 

 

 

そういうのは会話していく中でわかっていく事で、それを引き出すにはまず自分の事を話すのが先で、例えば

「社宅に住んでるんですが来年かな?3割負担から10割負担になるんですよ〜。都内で割と広いと家賃10万とかしますよね〜」

 

この言葉には意図してもせずとも3つの作用があり

 

 

1.さりげなく自分の情報を言う事で私も話やすくなる。私の情報を得られると共に、親みがわく。どうせならこの人から買おうと思う。歩合とかはないそうですが。

 

2.それに「社宅どうなりましたか?」とかまた年末あたり行くじゃないですか、気になって。もう年末商戦ですよ。

 

3.あと、「うちも10万くらいですよ、家賃」とか言おうものなら、すっ…と一番高いものを勧められる。「まあ、家賃よりは安いですよね〜」とか。

 

そういうやり取りを自然にできるところがプロだよなぁと感嘆する。

 

 

 

私がついBluetoothのスピーカーをついでに衝動買いする際も、3種類のうち

「どこが違うのか聞いたら色だけです。なんで好きなの選んだらいいですよ」

と、私が買う段になってからではなく前もって調べておく事で、「好きな色を選ぶだけ」と、淀みない買い物ができる。

 

 

 

そうすると『僕からのお願い』も私はきいてしまう。

「これは僕からのお願いというか営業みたいなやつで、月300円でプレミアム会員になれますよ〜という営業というか、そういうの。使わなかったら解約していいですよ〜。」

みたいなやつ。300円くらい全然いいですよ、ってなりますよね。お世話になってますし。

 

 

 

 

お会計の前に

「全部でいくらになりますか?」

と聞いた際もお会計の仕方がすごくて

 

「まずプレミアム会員の324円とMac miniを買った際の値段と、そこから発生するポイントでスピーカー買うと合計○○円です」

みたいな、えっ今日ポイント使えるんだ!?もうスピーカー半額じゃん、てなって、それで何でスピーカーからでなくMacからお会計したかというとMacの方が高いというのもあるけど、領収書、これはポイント使う前のが欲しいよね、私は。

そこまで考えてくれてるのかと。

 

 

 

もうなんだかすごくて、それで帰る時になんか100ポイントだけ残してて、ポイントガチャみたいなのやってうどんまで貰える、という。

 

 

 

その後キーボードが合わなくてもう一度店舗に向かったけど、新しいキーボードは充電式ですと言っていて、何で充電するんですか?と聞くと

「ライトニングケーブルです。iPhone買った時に付いてきたやつですので買う必要ないです」

と言う。iPhoneはここで買った訳じゃない。

 

何がすごいって私の持ち物をスマホやケーブル類まで把握している

そう、私はiPhon7なのでライトニングケーブル持ってるんですよ。iPhone6なら持ってないんだけど。

 

 

 

さらに「iPhone新しいの買わないんですか?」とか聞く。

 

この一言の何がすごいかわかりますか?

 

 

 

私の「や〜、支払い(っていうか2年縛り)とかまだあると思うんで」の一言で

「あれ?支払いって事はdocomoなのかな」とか、思ったと思うんですよね。逆に2年縛りを言ったらdocomo以外、という事。

docomoauSoftBankでのiPhone事情も把握しているんだろう。

docomoならうちで買ってくださいよ〜と言える。

 

結局キーボードの中にライトニングケーブルは付いている事を確認して買ったのでまあ、問題なかったんですけど。

 

 

 

で、家に帰ってから翌々日くらいかな?

プレミアム会員の内容が私に向いてないやつだったので、申し訳ないけど「いらなかったら解約してください」と言っていたしと、解約しようと思ってコールセンターに電話する。

 

そしたら「解約の前に、プレミアム会員に入った事で発生する、お客様が前回のお買い物の際に付いたポイントを受け取っていないようなのですが、このお電話でお付けしておきますね」

と言われ、「何ポイントですか?」と聞くと「2,134ポイントです」と。

 

 

 

何そのプレゼント!

324円支払って2,134ポイント貰えるという!『僕からのお願い』とか言っといて私が得するとか凄い。

 

 

家に帰って商品を使い、あー、そういえばと思って電話すると貰えるプレゼント!

 

なんていうかお誕生日にご飯食べたり楽しかった〜と家に帰ったら宅配BOXにプレゼントが入ってた、みたいな。

 

これは1ヶ月しか使えないと言っていたからまた行くじゃないですか。

 

いくらAIやロボットなどが発達しても、この人は生き残る人だと思うんです。

市場や雇用が縮小しても、この人から買いたいという人はたくさんいる、つまり家電販売のカリスマなんです。ネットで一番安いのポチって終わりよりもいいサービスの提供。本当にすごい人だと思うんですよ。

 

 

人って基本的に「人の役に立ちたい」とか思うじゃないですか、特に男性は。そういう自分の欲求を充しながらカリスマになってるMさん。

 

 

話は盛ってるというより、控えめに書いていますよ。ご本人が読めばわかるでしょうけど、まあ、読んで欲しくはないけど。

 

 

好きな人と食べるごはん

ある人と焼肉を賭けようと言ったら「そんな賭けはしません」と言われた。

じゃあ好きな食べ物でいいですよ?

と言ったら「好きな食べ物はない」と返って来た。

 

そんな人が運動の後、BCAA(必須アミノ酸)を飲んで

「美味しい」

と言っていた。事件ですよ。

 

人は美味しく感じる食べ物が好きだから、その人はBCAAが好きだと言える。今度BCAA賭けましょう。屁理屈である。

 

「好きな食べ物はない」というのは「アンタと一緒にご飯を食べる気はない」という事の意味である、くらいの分別はつく年頃。

 

 

 

話は変わり、空手の鍛錬の際に使う砂袋の砂を買いにスーパービバホームへ友人の車で行った。何しろ80kgだ。

 

無事セメント用の砂を見つけて(店員さんも謎だったろう、砂を買うのは私も生まれて初めての事です)ベランダをウッドデッキにしたい、ネコがいる!などはしゃいでて、魚コーナーで水槽に泳ぐ熱帯魚に興味を持って見ていた。

 

見ていたら昔飼ってたし欲しくなって、しばらく時間をくってしまった。

10分か15分だろうか、友人が見当たらない。電話しても出ない。ネコの方にもいない。

何度かラインを送っても既読にならない。心配になる。

 

あ、そうだと思い駐車場へ向かう。

 

ねえよ車。

 

「魚と俺、どっちが好き?」なんてめんどくさい事聞かれる前にいなくなって腹も立たない。

 

魚は見るのも食べるのも好きなんですよ。

 

スーパービバホームのお会計の所で配送してくれるのか聞く。

80kgのセメント用砂と熱帯魚セット、ネコの草を積んで、店員さんは「今聞く!?」みたいな顔をする。配送してくれるようだ。

 

配送カウンターの『研修中』の腕章を付けたおそらくパートの女性に「や〜、なんだか熱帯魚見てたら友達が帰っちゃって」と言うと、びっくりして、しかし努めて気楽な風で「そうなんですか!お魚眺めて仲直り出来るといいですね」と優しく微笑んでくれた。私も微笑んだ。

 

実際にお魚眺めて仲直りしようと思った訳ではなく、その女性の言葉に微笑んだのだ。勘違いしないで欲しい。

80kgの砂などを放って帰る友人より比べ物にならないくらい、あなたは素敵で価値のある人だと胸を張って欲しい。

凄く優しくていい人だし、クレバーだ。きっと若い頃はCAでもしてたのだろう。

 

でも

「今度一緒にお魚眺めましょう」

 

言わないね〜。食べもしないし。

私は魚は見るのも食べるのも好きだけど、その人とは見もしないし食べもしないね。

 

結局、好きな食べ物は「好きな人と食べる食べ物」、という事になる。

 

よく男性が女性に何が食べたいか、とデート中に聞く事がある。何でもいいよと言っても文句を言う理由は、

 

男「何食べたい?」

女「何でもいいよ!」

男「松屋でいい?」

女「          」

 

となるそうだけど、それの無言のスネ方は女がワガママなのではなく、あなたと松屋を食べてもつまらない=元が取れない=「なぜなら私はヒール履いて疲れたしお化粧したり洋服選んだり、もっと言うとそれらを働いて買って使い、あなたを喜ばせる事が自分の幸せに繋がりそうだから投資してるのに、松屋はねーだろ、ふざけてんのか?私はそんな安い女じゃない、でもそんな事言ったら打算的だしこれまでの投資がパー!」と言われてるようなものだ。

 

本当に好きな人と食べるご飯なら、白飯に紅生姜でも美味しいのだ。

あいまいな宇宙の全て(後編)

前回のブログでは、あいまいさについて言及した。
 
私はこの世界は基本的にあいまいで、だからこそ自分で決めた通りになってしまうことを知っているので、続きを書くのが憚られた。
 
白黒の勾玉でできた円の、白には黒の、黒には白の、それぞれの小さな点があって、たとえば白が自分で決めた思い通りの世界だとするよ?
私は基本的に白い、自分で決めた世界にいるけど、その中には黒い点があるだろう?
今日はその話をするよ。
 
私は断捨離気味に「ああ、部屋にものが多いな、全部メルかってシンプルな、上等なものだけ少し使って暮らしたい」と思って、メルカリで得た資金を元に無印良品のベッドカバーや掛け布団カバー、ケットなんかを買った。
続きを読む

あいまいな宇宙の全て(前編)

タイトルを結構考えたけど、無難なものにした。
 
 大江健三郎は川端康成著「美しい日本の私」について、『きわめて美しくきわめてあいまい』と言っている。その際のあいまいには<vague(ヴェイグ)>が使われている。vagueの意味は<漠然とした>とある。
 
他方、大江健三郎著「あいまいな日本の私」のあいまいとは同じあいまいでも<ambiguous(アムビギュアス)>の方なのだそうだ。「あいまいな日本の私」は「美しい日本の私」の批判、要するに「ディスる」ために書かれたものと言える。
 
ambiguousの意味は同じあいまいでも<両義性>という性質が濃いものだろう。両義性とは一つのことがらの中に二つの意味を持つものとしてあいまいと言える。「インテリアとしての家電」なんかがそうじゃないかと思う。一つに二つの意味が内包されている状態。
 
なんでこんな有名な先生を引き合いに出しているのかというと、私は両氏をディスりたい訳ではなく、私のあいまいさについて書きたいのだが、あいまいという日本語はとてもあいまいで、私が使いたいあいまいは<ambivalence(アムビバレンス)>だと思う。ambivalenceは<両価性>という意味で要するに「好きだけど嫌い」といったところだろう。心理学などで使われている。
続きを読む

Sくんへ

何から話したらいいのかな。
 
電話をもらった時は3時まで眠れなかったよ。Sくんのことを書きたかったのに、他のエントリを先に上げてごめん。自分の中でなかなかまとまらなくて。
 
前に「ブログ読んでるよ〜」って言ってくれたから一縷の望みをかけてここに書くよ。もし読んでくれたら嬉しい。
 
私は電話ではうまくしゃべれないから、最後に送ったラインも既読にならないこと、気にしてる。
 
私はSくんみたいに親に大切に育ててもらってないから理解できないかもしれない。
 
知っての通り私は普通の人が楽にできることができなくてね、そんな私を親は嫌だったのかもしれない。
 
すごく冷たくて。要求が私の能力よりもずっと上で。学校に行けなくなった時「今まで育てたお金、どうやって返すの?」と返済方法の提示と使途明細を突きつけられたりした。
 
未だに右と左もあんまりわからないし、教習所にも6年くらい通ったんだ。
 
そんな『できないこと』の悩みにも乗ってくれて、アドバイスをくれたり、具体的に「こうしたらいい」と言ってくれたこと、メモしてとってあるよ。
 
なんかすごく嬉しくて。今までそんな親身に考えてくれる人、いなくて。
 
だけど無理させてしまっていたんだね。
 
優しいから無理と言えなかったんだろうね。
 
 
THE BLUE HERTSの「人にやさしく」という歌にこんな歌詞がある。
 
「やさしさだけじゃ 人は愛せないから ああなぐさめてあげられない 期待はずれの言葉をいう時に 心の中ではガンバレって言っている 聞こえて欲しいあなたにも ガンバレ!」©2001Interrise Inc. All Rights Reserved
 
https://www.youtube.com/watch?v=YoCxwscG7_k
 
 
Sくんも「頑張ってね」って言ってくれたね。
 
電話を切って悲しいとか辛いより『痛い』と感じた。
 
人も地球と同じ構造をしていて「内核→外核→マントル→地殻」と成っているように「魂→心→思考→身体」という構造をしているそうだよ。
 
きっと中の方が痛いんだと思う。それは私だけじゃなくてたぶんSくんも。
 
本当はこんなことを書くべきじゃないかもしれないんだ。私はまた、自分のことばかり考えているのかもしれない。
 
私は私なりに何か恩返しがしたくて。もしかして私と遊びに行ったりすることで楽しい思い出になったらいいなと思ったんだ。
 
『大好きな人と付き合う』というのが理想なのかもしれないけど『話したりしてて楽しいからなんとなく付き合う』というのもアリなように思う私は薄汚れた大人なんだろうね。
 
Sくんはすごく真っ直ぐできちんとしていてすごいと思う。
 
Sくんは私にとって羅針盤のような感じで接してくれて、もう相談できない今、とても不安です。
 
 
インドには因陀羅網というのがあって、たくさんの網目ひとつひとつに宝石があって、その宝石は人のことで、互いが互いを写しあって輝いているそうだよ。
 
これから出会う人や見るもの、経験することを通じてSくんの宝石の輝きが増すよう祈っています。
そしてSくんによって他の人を照らしてあげることを。
 
 
 
 
 

天丼とお約束

 
 
 
 
 
題名でピンとくる人はお笑い好きですね。
 
お笑いで言うところの『天丼』は同じボケを何度も言うことを指します。これは天丼にエビが2本入っていることから来ているそうです。
 
私は空手をしているので大会などで記入する用紙に身長・体重を書くので薄々バレることもあるけど、女子の部は-55kg+55kgのことが多いので、55kg以上の人には具体的に聞く必要はない。
 
80kgだろうが56kgだろうが同じ『+55kg』として試合するんです。
 
 
 
前、試合会場で空手の先輩に「雨音さんて80kgくらいですか?」と聞かれた。防具を付けているので多少がっちりめに見えるかもしれないけど、私は70kgの大台を超えたことはない。
 
むしろ昔はもやしっ子で50kgもなかった。170cmあるので相当なもやしだ。
 
「そんなにないです」
彼は続けた。「じゃあ70kgぐらいですか?」「そんなにないです」「じゃあ何キロなんですか?」
 
そんなこんなでみんなの前で体重を発表するはめになった。
釈然としない顔をしていた。
 
 
大会も終わり、稽古後にまた聞かれた。
 
 
「雨音さんて体重70kgくらいでしたっけ?」
 
はい天丼キター。
 
 
 
違います、『逆』です。と言いたい。
 
男性が女性に、特に意中の女性に体重を聞く場合、少なめに見積もって
 
男性「雨音さんて50kgくらいですか?」
雨音「そんな、もっとありますよ〜」
男性「へー、見えないですね!」
雨音「そうですか、嬉しいです、ありがとうございます!」
 
な〜んて女性を喜ばせるのが『お約束』ですよね。
なので彼にとって私は意中の人ではないのでしょう。
 
 
 
彼(道場の先輩ですが頭をクリアにするために一人称で書いています)は多め多めに私の体重を言う。
 
以前「雨音さんはすごく辛い事や深い悲しみがあって、ヤケになってるイメージですね」と言われ、考えて「????加護亜依みたいな感じですか?」と言ったら「イヤーーーーー、マツコデラックスとか?」
と言われたことがある。
 
 
 
私は壇蜜や山口小夜子に似ていると言われたことが何度かあるけど、マツコデラックスは初めてだ。
 
 
 
以前繁華街でキャッチに遭った話を別の人に言ったら「熟女好きとか、デブ専とかもいるからね〜」と言われた時は「デリカシーがない人だ」と思ったけど、もしかしたら私の体重を頻繁に聞いてくる彼は「ぽっちゃり好き」なのかもしれない、と思った。
いや、マツコデラックスと言うからにはまあはっきり言って「デブ」が好きなのかと思ったのだ。
 
 
 
そう考えると天丼とお約束がひっくり返る。
 
男性「雨音さんて70kgくらいですか(俺の好きなデブかな?)」
雨音「すみません、そんなにないです!」
男性「95kgくらいに増やしたら無敵になるかもしれませんよ」
雨音「そうですか、嬉しいです、ありがとうございます!」
 
Happy end.
 
 
 
こっちをお約束のように何度も言っているのに気づかなかった私の方が鈍感なのかもしれない。
 
つまり彼は何度も何度も褒めてくれていたのかもしれない。
でも私は自分が太めになるのはイヤなのです。
 
彼が太めの女性が好きなのかどうか、その辺の真偽はおいおいわかったり、わからなかったりするのでしょう。
 
人の価値観によって『天丼とお約束はひっくりかえる』というお話しでした。
 
 
 

日常生活がうまく送れない人というのは具体的にこうなっている

「日常生活がうまく送れない」と嘆く少数の人には「あるある」なんだろうけど、具体的に何がどうできないのかをうまく説明できる、という人も少数だろう。
 
だからここは一つ、私が出張って書いてみようと思う。
 
私は縁あって文章を書いたり遊んだりして暮らしているが、例えば温泉の事について書け、となった場合、温泉なんか難しくて行けない。だから行った事がない。調べて書くしかないのだけど、まあ、ちょっと近くのスーパー銭湯に行ってみようかな、とも思う。
 
 
 
ちなみに私は「半導体」がなんなのか、最後までわからないまま1200文字を書いた事があるけど、そういうのに良心の呵責を覚えていたら仕事なんかできない。けどまあ、今日は寒いし、ちょっとスーパー銭湯に行ってみた。
 
 
 
そしたらいきなり「スパリゾート○○」とか放送で言ってるじゃん。推敲する際に「スーパー銭湯」を「スパリゾート」に書き換える事も少し考える。
 
 
 
じゃあ日常生活がうまく送れない私について今から説明するね。
 
スパリゾートに行く際に、身体を洗うタオル、フェイスタオル2枚、シャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔料、化粧水、乳液、クリームなんかを手提げに入れていたので、ロッカー室に行って服を脱ぐ。もうロッカーの鍵が閉まらない。3箇所ロッカーを変えて「係の人来ないかな、壊れてるロッカー多いよ」と思っていた。
 
けど「下のボタンを押して回す」の注意書きを見つけてホッとする。この鍵をなくしたら5千円かかると書いてある。私は注意深く生きてるから、財布とかケータイをなくした事がない。
 
それでシャンプー、リンス、ボディソープ、身体洗うタオル、フェイスタオルを持って浴室に入る。
 
もうみんなプロなんだよ。私みたいにバラで持ってる人なんかいなくてね、プラスチックのカゴに入れて棚に置いてる。おばあちゃんもそうしてる。それでシャワーのところを見るとシャンプーもリンスもボディソープもあるの。
 
とりあえずバラでそこの隅に置いて露天風呂入る。
 
 
ああ、空気が涼しくてお湯が温かいというのは気持ちがいいんだなあ、と思う。
 
 
私なんかもう立派なおばちゃんなんだけど、もっと立派な獣のようなおばちゃんや溶けた餅のようなおばあちゃんとかがいてしばらくじっとする。おしゃれな植木とか植わってて「これがリゾート部分か」とか思う。
 
 
 
サウナもなんか凝った名前でね、中は薄暗くて入ったら桶いっぱいの塩がある。これはなんだ?と思って座ってくつろいでる人を見ると股の間に塩を貯めて、それを掬って腕なんかに塗ってる。
 
ああ、股に挟んで保管するのかと思っておもむろに中腰になり備え付けの大きいスプーンで股の間に詰める。
 
歩けないじゃん。
 
一応空手やってるからね、足腰にはまあまあ自信があるけど、一歩でも踏み出したら塩が落下、そう思うと中腰で股の間に塩を詰めたまましばらく空気椅子のような事をして考えた。
 
一旦リセットしよう。
 
股の間の塩を手で掬って椅子に移動しようとして「かけ湯をしてください」というのを見つける。しょうがないからもう塩ごとかけ湯する。「私は塩水がかけたかったんです」みたいな落ち着いた顔で。
 
それで改めて左手に塩を盛って椅子に移動する。
 
事なきを得たね。
 
なんだかわからないんだよ。なんでサウナで塩を塗るのか、とか、股に挟んで保管するのか、とか。万事がそんな感じでね。前にスポーツジムでメガネをかけたままサウナに入って「熱っつっ!!!!」ってなったりとか。どっと疲れて早く帰りたいと思って、浴室を出て顔を洗うの忘れてて、洗ってから気づいたけどトイレの手洗うところだった。
 
フラットじゃん?床が地続きというか。バリアフリーって言うのかな、わかんないよ。
 
外に出てマッサージとかあるのに気づく。足裏やってもらおうかなと思ってお願いする。マッサージしてくれてる人にこんなひどい目にあった、おばあちゃんとかプロですよね、と説明したら「お客様面白いですね〜言われませんか?」と言うので「言われますよ、でも私は真面目にやってるんですよ」と言う。続けて「でも思い切ってなんでもやってみる、っていうのはいいですよね」と言うと「遠くからいらしたんですか」と言う。「いえ、自転車で来ました」「ここもう3年前にオープンしたんですよ」笑って「何か忘れたりしてもフロントで貸してくれますし、大丈夫ですよ」と言う。
 
日常生活がうまく送れない人というのは、万事が万事、そんな感じでね、何がどう、とうまく説明できないもんなんだ。
 
少しでもご理解いただけたなら幸い。